闇堕ちしたエリート医師は一途に禁断の果実を希う
幼い頃からふたりを見ていた。天はふたつ年下の自由に惹かれていた。自由は小手毬しか見ていなかったけれど、いま思えばあれは初恋だったのだろう。
愛しい気持ちがいつしか憎しみへとシフトし、天の行き場のない想いは叶いそうで叶わない距離にいる自由の一途な恋を諦めさせるという復讐じみた行為へ至った。
菊花の言う通りだ、燻っていたのは意味のない復讐心だけ。夫の健太郎は赤根の家から飛び出した天を優しく受け入れてくれたし、その情に絆されるように勢いで結婚してしまったが、そのままあの家や宗教と距離を置けたことで自分を取り戻せたと思ったのだ。桜庭雪之丞が死んだというニュースを耳にするまでは。
「ジユウは自分の将来を潰してまでコデマリを選んだ。そこまで希うことができる彼の強さに、嫉妬していたのかもしれない」
「そう」
「この先の彼らの目に、私は映らなくていいのさ」
茶化すこともなく加藤木は物思いに耽る天の姿を見守っていた。
加藤木が知らない自由と小手毬を知る天は、淋しそうに、けれどもふっきれたように微笑みを返すのだった。
愛しい気持ちがいつしか憎しみへとシフトし、天の行き場のない想いは叶いそうで叶わない距離にいる自由の一途な恋を諦めさせるという復讐じみた行為へ至った。
菊花の言う通りだ、燻っていたのは意味のない復讐心だけ。夫の健太郎は赤根の家から飛び出した天を優しく受け入れてくれたし、その情に絆されるように勢いで結婚してしまったが、そのままあの家や宗教と距離を置けたことで自分を取り戻せたと思ったのだ。桜庭雪之丞が死んだというニュースを耳にするまでは。
「ジユウは自分の将来を潰してまでコデマリを選んだ。そこまで希うことができる彼の強さに、嫉妬していたのかもしれない」
「そう」
「この先の彼らの目に、私は映らなくていいのさ」
茶化すこともなく加藤木は物思いに耽る天の姿を見守っていた。
加藤木が知らない自由と小手毬を知る天は、淋しそうに、けれどもふっきれたように微笑みを返すのだった。