闇堕ちしたエリート医師は一途に禁断の果実を希う
 亜桜雛菊という、戸籍上は死んでいる小手毬の母は雪之丞のちからで新たな名を手に入れ、世間から隔離されたまま彼に囲われることになった。雪之丞の死によって自由になった菊花は、“女神”の“器”となる宿命を持つ娘の行方を調べ、彼女が亜桜家にいた頃の自分と同じ道を辿ろうとしていることに危惧を抱く。
 雪之丞が生きていれば小手毬が“器”として覚醒する必要はなかったが、彼の死によって彼女は新たな医療行為――調教を受けることになってしまった。
 交通事故で女性としての機能を止めてしまった彼女は、瀬尾の手で淫らな“女神”となるよう洗脳されていく。“審判の日”に権力者と契りを結び、“器”としての本領を発揮するそのために。密かに“諸神”の加護を求める男たちを、菊花は調べあげる。そのなかの有力候補に、雪之丞や雛菊とも縁のある茜里病院の後継者、赤根雨龍がいた。
 菊花は雨龍に近づき、彼を見極めようとした。
 それとほぼ同時期に、“彼”が現れた。地域医療センターの職を辞し、姿を消した実の息子――諸見里自由が。

『匿ってくれませんか、母さん?』
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