闇堕ちしたエリート医師は一途に禁断の果実を希う
 天から自分と小手毬が異父兄妹であることを知らされても自由は諦めきれなかった。だから自由は小手毬が“器”になることを阻止するため、職を辞し、母の協力を仰ぎに来た。得たいの知れない“諸神”の加護を与えた年齢不詳の母親は、小手毬を奪還するための計画を組ませようとした。そこへ。

「加藤木先生、だっけ。彼女がウリュウくんを通してあたくしにコンタクトを取ってきた」
「あ、あ」
「面白い子ね。ユキノジョーが生きていたら次期教祖に祭り上げていたかもしれないわ」
「さすがに冗談ですよね」
「陸奥先生、彼女に伝えてくださる? 貴女が画策したことの半分は滞りなく進んだと」
「残り半分は?」

 その問いに菊花は答えない。
 きっと、残り半分のことは、自由と小手毬ふたりが選んで決めていく未来のことなのだろう。
 陸奥と菊花はそれ以上会話を交わすことなく、長い渡り廊下を歩いていく。
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