闇堕ちしたエリート医師は一途に禁断の果実を希う
   * * *


 彼女が目覚めたときに傍にいられればいい。

 そう思ったのに。

 今、自分は同じ敷地内の違う科で、研修を受けている。

 整形外科研修を終えた自由は、現在産婦人科の研修に入ったところだ。
 近年導入された総合診療方式、スーパーローテートにより、彼は外科系の科目すべてを二年間で経験しなければならないのだ。
 その中には、早咲が専門とする脳神経外科、陸奥が専門とする麻酔科も含まれている。

 だが、自由はまだ、彼らに追いつけない。専門医スペシャリストになるにはそこからまた、経験を積まなければならないのだから。
 ただ、自由にできるのは、目の前をがむしゃらに進んでいくだけ。

 初期研修の二年間は、あっという間に過ぎていきそうで、ぞっとする。
 二年後、自分はどのような選択しているのだろう。
 小手毬のために今の道を選んだ自分は、悔やんでしまうのだろうか。

 白衣にも慣れた。
 これが自分の戦闘服だ。


「ジユウ、次は分娩台ついて」
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