闇堕ちしたエリート医師は一途に禁断の果実を希う
「午後の外来は三時からですよ」
「そうか」

 つまらなそうに陸奥は頷き、小手毬の表情をうかがう。

「なぁに?」
「もう少ししたら、早咲先生が来る」

 早咲の名を聞いて、小手毬の頬がパッと赤くなる。心底嬉しそうに、瞳を輝かせ、見開く。
 それを見て、自由は首を傾げる。

「小手毬は、早咲先生が好きなのか?」
「うんっ。ハヤザキだいすき」
「僕よりも?」

 焦った表情の自由を、呆れるように陸奥が制する。

「……へんなとこで張り合うなよ」

 うーん、としばし悩んだ後、小手毬はぽんと手を叩く。

「ミチノクよりはすき」
「なんだと!」

 ぷっ、と自由が笑う。陸奥と言えば無表情でクールな医師というイメージが強かったのに、小手毬の言葉に正直に喜怒哀楽を見せている。そのギャップが面白い。先輩医師に対して面白いは失礼かもしれないが。

「ジユウ今笑っただろ、笑ったな」
「すいません」

「お、随分賑やかになったんだな」

 第三者の声が割り込んで、三人は声の主の顔を仰ぐ。オレンジ色に近いピンクの白衣を着た女性を見て、自由の顔がひきつる。
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