闇堕ちしたエリート医師は一途に禁断の果実を希う
「ジユウみぃっつけた。まったく、どこほっつき歩いてるのかと思えば」
「……まだ休憩時間内ですよ」
「知ってる。これはちょっとした興味本位」
「興味本位で患者に手を出すな」
「厳しいねぇ陸奥先生は相変わらず。うちの旦那が文句言うのも理解できるわぁ」

 どうやら彼女も医師らしい。小手毬は胸元のネームプレートを見て、読み上げる。

「ナラシノ? 女のひとなのにナラシノ?」
「あのナラシノの妻だ」

 陸奥は混乱する小手毬に説明する。

「ナラシノの奥さん?」
「そうよ。あなたがコデマリね、お久しぶり」

 小手毬はきょとんとした表情でナラシノと呼ばれた女医を見上げる。

「おひさしぶり?」

 陸奥が自由と楢篠天、ふたりの表情を見比べながら首を傾げる。学生時代の先輩後輩だったことを考えれば、彼女が小手毬のことを知っていても不思議ではない。

「どこか、で、お会いしました、っけ?」

 けれども、小手毬はそれを覚えていない。
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