人質として嫁いだのに冷徹な皇帝陛下に溺愛されています

 ヴァルクはじっとイレーナの様子をうかがう。
 まさか心を読まれたのだろうかと不安になるが、彼は別のことに興味を向けたようだ。
 いきなりイレーナの腕を掴んだ。

「えっ……あ、あの」
「痩せすぎだな。お前の国は食糧が不足しているのか?」
「そんなことはございません。きちんと食事はしておりました」
「それなら、今後お前の食事をもっと増やすことにしよう。この肉付きでは触り心地が悪い」

 ヴァルクはいきなりイレーナの腰に腕をまわして抱き寄せた。

「きゃあっ……」

 イレーナは悲鳴を上げてすぐさま口をつぐむ。

(さ、騒がず……されるがまま……)

 ヴァルクはイレーナの腰を撫でたりお腹を撫でたりする。
 イレーナはドキドキしながら岩のように固まった。

「やはり硬いな。もっと肉を食わせないとな」

 イレーナはいつもの数倍ガチガチに固まっている。
 そして、そのままヴァルクに後ろ抱き(バックハグ)をされた。

「ひゃっ……」

 悲鳴を上げそうになり、黙る。
 生まれてこのかた父親以外の男に抱きしめられたことがない。

「さて。お前に訊きたいことがある。俺の質問に答えるんだ」
「ひっ……」

 ヴァルクの吐息が耳に当たってイレーナはびくっと震えた。
 しかし、何があっても悲鳴を上げてはならない。
 もはや拷問である。





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