人質として嫁いだのに冷徹な皇帝陛下に溺愛されています
時が経ち、ドレグラン帝国に皇子が誕生した。
帝国中がお祝いムードになり、他国からも次々と祝辞が届いた。
イレーナの故郷カザル公国からもお祝いが届き、両親とも対面。
彼らは娘が幸せそうにしている様子を見て涙を流して喜んだという。
図書館では平民のあいだで、ある本がとても評判になっていた。
誰が書いたものかは不明だが、その内容は皇帝と妃をモデルにしているようだった。
人質として嫁がされた王女が王の寵愛を受けて幸せな人生を歩み、国の人々に慈愛をもたらし、長きにわたり国は繁栄したという。
イレーナは窓辺でその本を読みながらうとうとしていた。
すると昼寝をしていた皇子が泣き出して、慌てて抱き上げた。
「イレーナさま、お茶になさいませんか?」
「まあっ! わたくしが見ておりますからどうぞお休みになってください」
リアが乳母を連れて使用人とともに軽食を持ってきた。
「いいわ。私が見るから」
「しかし、夜中もほとんど眠っておられないでしょう? 少しお休みになられたほうがよろしいかと」
「平気よ。さっき昼寝したわ」
乳母と言ってもそれは形だけで、ほとんどの世話はイレーナがおこなっていた。