人質として嫁いだのに冷徹な皇帝陛下に溺愛されています

「何だ? 何か気に入らないことでも?」
「そうではありませんわ。だって、その……耳を疑うような言葉がありましたから」

 ヴァルクは頬を赤く染めるイレーナを見てピンときたのか、にやりと笑みを浮かべて言った。

「愛する妻のことか?」
「あ、あ、愛……って」
「正直に述べただけだが、それが、それほど驚くことなのか?」
「だって、今まで一度もそんなことを言ってくださらなかったから」

 イレーナは赤面しながら俯く。
 その胸中は喜びにあふれていて、今にも涙があふれそうだった。
 ヴァルクはイレーナの肩を抱き寄せて、耳もとでひっそりと言った。

「そんなに嬉しいなら何度でも言う。お前のことを愛している。イレーナ、世界一愛している」
「うっ……お、恥ずかしいですわ」
「お前はどうなんだ? 俺のことをどう思っている?」
「わ、私も……あなたのことを愛しています」

 イレーナが顔を上げるとヴァルクは極上の微笑みを浮かべていた。
 そして、ふたりはそのままキスを交わした。

 テラステーブルでお茶の準備をしていた使用人たちはそれを見て「きゃああっ」と歓喜に沸いた。
 イレーナは恥ずかしかったが、今日は誕生日だし、いいかなと思った。



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