人質として嫁いだのに冷徹な皇帝陛下に溺愛されています
「俺はお前に関する情報を調べさせてだいたい知ってはいるが、本人の口からも聞きたい。お前がどのように暮らしてきたのか、お前から見てこの国はどのように見えるのか」
これは試されているのだろう。
答えようによっては命にかかわる。
イレーナは覚悟を持って話すことにした。
「はい、えっと……町は活気に溢れ、人々はみな笑顔に包まれており、幸福度の高い国だと感じております」
冷酷な皇帝に支配されて人々は窮屈な生活を強いられているという噂を払拭するほど、この国は豊かで平穏だとイレーナは思った。
「そのように答えた女は初めてだな」
「え? 私は何か間違えたのでしょうか?」
「いや。今までの女はみな俺の栄光を褒め称えていたが、お前は民の目線で語るのだな」
「申し訳ございません。もちろん陛下のお力だとは思っておりますが……」
「それでいい。俺のほしい答えだ。民が幸福でなければ国は成り立たん」
イレーナは意外だという顔でヴァルクを見つめる。
(計算が苦手で物の見る目がないなんて言ってるけど、王さまとしてはしっかりなさっているのかしら)
でないとこれほどの強国にはなり得ないだろう。