人質として嫁いだのに冷徹な皇帝陛下に溺愛されています
しかし、イレーナは心底残念だと思うこともある。
やはり学校を増やして優秀な人材をもっと育成すべきだと思うのだ。
口を開きかけたものの、侍従の言葉を思い出して黙る。
(長時間の拷問……)
イレーナが不自然な動きをしたせいか、ヴァルクは怪訝な顔をした。
「何か言いたいことでもあるのか? 言ってみろ」
イレーナは目をそらすこともできず、ただ彼を見つめてどう言えばいいか悩む。
(かろうじて生かされた状態で城門に括りつけられ……)
ぞわっと背筋が震える。
(そのあと火刑……)
イレーナはとっさに別の話題を口にした。
「そうですね。あの、このお布団は民も使えるのですか?」
民の目線で語ることをよしとする皇帝だ。
ここは民のために話をしたほうがいいだろうと考えた。
ヴァルクは眉をひそめて唸る。
「それは難しいだろうな。これは最高級品だ。セシルア王国でもなかなか手に入らないと聞く」
「貴族の方々は同じものを使っているのですか?」
「ランクがあるらしい。俺たちが腰を据えているのは最高ランクの品だ。彼らはそれよりやや劣る」
「ですよね。でしたら、同じように平民が手に入れることができるランクを作ればよいのです」
「は?」
ヴァルクは呆気にとられた。