浮気されたら、エリート整形外科医に溺愛されました【完】
差し出される、小さな白い箱。

箱には『アルカンシェル』と記載されていて、今日麗華の家で食べたクッキーのお店と同じだということに気が付いた。
そうか。 ここ、洋菓子屋さんなのね。


「あ、ありがとうございます」

「箱、開けてみて?」


そう言われて、静かに箱を開けてみた。

中には、フルーツがたくさん乗っている可愛らしいケーキが並んでいて、生クリームの甘い香りがふわりと鼻を通る。


「わぁ……美味しそう」

「だろ? 水姫が絶対喜ぶと思って」

「……あ、ありがとうございます」


とは言ったものの。
今私、甘いもの控えているんだよね。

望さんの気持ちは嬉しいけれど、なぜか心から喜べない。


「どうした?」

「あ、いえ! なんでもないです! ご飯にしましょうか。 子どもたちも、お腹空いてると思うので」

「あぁ、そうだな。 支度、手伝うよ」


洗面所に向かい手を洗いに行く望さん。
今流行りの感染症予防対策として、食事の前の手洗い、手指消毒は徹底していた。

私はケーキを冷蔵庫に入れると、食べなくて済む理由をどうにかこうにか考える。

が、なにも思い浮かばない。

……下痢って言う? 食欲ないって言う?
でも、お腹は普通に空いてるし。
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