再びの異世界、可愛かった皇子様が俺様竜帝陛下になってめちゃくちゃ溺愛してきます。

「妖精のメリーです。この子も一緒に来てくれることになりまして」
「妖精……へぇ、本物は初めて見るな」

 覗き込むように見つめられて、メリーは更に引っ込んでしまった。

「そうなんですか?」
「妖精は基本シャイですからね。わたくしもこんなに近くで妖精を見るのはメリー様が初めてです」

 ローサがそう続けた。
 言われてみると確かにこれまで『妖精の国』以外で他の妖精を見たことはない。

(妖精王のエルもレアキャラみたいに言われてたけど、メリーもそうだったんだ)

 そんなことを思いながら首を回し背後を見ると、メリーはそんな私を見上げて円らな瞳をぱちぱちと瞬いた。



 そして早速私たちはその二頭立ての馬車に乗り込んだ。
 ローサは「わたくしはこちらに」と御者の隣に座り、間もなくして馬車は動き出した。
 と、向かいに座るカネラ王子が大きくため息をついて背もたれに身体を預けた。

「やぁ〜、一時はどうなることかと思ったけど、決断してくれてありがとうね、聖女サマ」
「いえ、お役に立てたらいいのですが」
「立つ立つ。でも、あの竜帝がよく許してくれたね」

 首を傾げられて思わず苦笑が漏れる。
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