再びの異世界、可愛かった皇子様が俺様竜帝陛下になってめちゃくちゃ溺愛してきます。
第88話
リューのお父さんだけじゃなく、リューまでも傀儡にしようとした魔王。
絶対に許すわけにはいかない。
『 聖女よ! そんな弱く愚かな竜人族より、余のものになるのだ! 』
この期に及んでまだそんなことを叫んでいる魔王を私は睨み据える。
「弱くなんかない。愚かでもない。竜人族は、ただ優しくて愛にまっすぐなだけ。それを利用しようとしたあんたの方がよっぽど下衆で愚かだ」
そして私は啖呵を切るように続ける。
「それに、私はもう聖女じゃない。竜帝妃よ!」
ヒューっとそのとき口笛が響いた。ブランカだ。
「いいねぇ、か~なり良い感じになったじゃないのさコハル! っしゃ、じゃあちゃちゃっと封印しちまおうか。7年前はコハル経由だったアタシら5人の王の力、存分に喰らうといいよ魔王!」
「いやいや、ちょっと待って。5人て、俺王じゃないから」
慌てたように声を上げたのはカネラ王子だ。