偽る恋のはじめかた
心底呆れた次にやってきた感情は怒りだった。
今までの桐生課長の高圧的な口調や態度が頭に浮かんできて、怒りが沸々と湧いてくる。
「それだけの理由で、みんなに冷酷な態度を取っていたんですか?」
「そうだけど・・・・・。そんなに冷酷だった?
ってことは、ちゃんと俺様上司になってた?」
何が嬉しいのか表情がパッと明るくなり、とても嬉しそうに口元が緩んでいる。その顔に苛立ちを覚える。
桐生課長は好きな人がいて、その人は"俺様上司"がタイプということを耳にした。
好きな人を振り向かせるために、俺様上司を演じてたらしい・・・・・。
嘘でしょ?そんな私的理由のために、今まで暴言や嫌味を言われてたってこと?
桐生課長がきてから、私は仕事が憂鬱になり毎日悩んでいた。その原因だった俺様上司の理由が、まさか好きな人のタイプだから———。
・・・・・だなんて、腹が立って仕方ない。
落ち着かせようと思ってもイライラが収まってはくれない。私の脳内で理性と怒りの感情の抗争が幕を開けた。そして、プツっと理性が弾け飛ぶ音がした。