偽る恋のはじめかた

「馬鹿なんですか?」


「・・・・・え?俺に言ってる?」



不思議そうに首を傾げると、自分に言われてるとは思わないのか、辺りをキョロキョロ見回している。



「そうです。あなたに言ってます。
桐生(きりゅう)課長は馬鹿すぎる。
なんであんたの恋心のために、私達部下が暴言吐かれて嫌な思いしなきゃならないの?
部下に慕われなくていい。じゃねーんだよ!
部下が働きやすい環境を作るのが上司の仕事でもあるでしょ!
私だって、嫌味言われて嫌な気持ちになりましたよ!辞めてやろうかとも思ったよ!
ってか何歳だよ!好きな人のタイプになろうとするとか、社会人で、ましてや会社でやる馬鹿いないだろ!上司なら私欲満たしてないで、もっと考えろよ」


  




苛立ちが頂点に達して爆発してしまった。
心の中の言葉を全部早口で捲し上げていた。


———やってしまった。課長に暴言吐いた。
感情的になり過ぎてタメ口で言っちゃったし、さすがに、ここまで部下に言われたら誰でも怒る。


理性を取り戻すと途端に怖くなり顔を上げれず、俯いてしまう。
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