偽る恋のはじめかた


緊張と気恥ずかしさに耐えきれなくなり、支えてくれている大きな手を思わず払いのけた。



「馬鹿ですか?せっかく愛しの梨花(りか)と隣の席で話してたのに、そのチャンスを捨てちゃって・・・・・。梨花は人気者だから戻っても隣の席は空いてないと思いますよ?」



呂律の回らない口で早口で告げた。桐生課長が心配して駆けつけて来てくれて本当は嬉しかった。


桐生課長の顔を見たら何故か胸がホッとした。
それを伝えられずに、可愛くないことを言ってしまった。そんな自分に心底ガッカリしている。




———来てくれて嬉しかったと言えたなら。
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