偽る恋のはじめかた



桐生課長の紳士な対応に戸惑っていた。


(今までイケメンの無駄遣いと思ってたけど、中身もイケメンじゃないか!)


胸がドキドキと波打つ。
———これは、お酒のせいだ。酔っているせいだ。


自分を納得させるように、何度も心の中で呟いた。



チラリと顔を見上げると、あまりにも綺麗な顔をしていたので、ついつい見入ってしまった。
 

「ん?」


そんな私の視線に気付いたのか、とびきり優しい声で見つめてくる。



鼻に残る香りがそうさせるのか、ドキドキが収まることはなかった。重なる視線に耐え切れなくなり、ふいっ、と慌てて目を逸らした。

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