殿下、溺愛する相手がちがっています!

じゅう(最終話)

「ラビットに話がある」
 
 授業終わりにテラスへ誘われたラビットは、そこでフォックス殿下の話に驚きで、目が点になった。なんと、ヒロイン――アルディリアさんが学園を退学になったらしい。

 彼女は最後まで「私はヒロインなの」と喚いたが。
 フォックス殿下のひと声で、退学が決まった。

 それでは終わらなかった……彼女の男爵家は商売の邪魔だと。嫌がる、アルディリアさんを修道院に入れたそうだ、乙女ゲームとは真逆の結果となる。

 フォックス殿下は「……なるように、なったんじゃないかな」彼女の言葉遣いと嘘、狂言――婚約者がいる男性への接近……アルディリアは他の男性生徒を誘惑していた。

 ヒロインの特権で「へんしん」と願うだけで、獣化できた。それを使い彼女は攻略対象だけでは飽きたらず、イケメンな男性にかたっぱしから声をかけていたのだ。

 誘い文句が「私の獣化したをリスの姿をみる? 可愛いわよ」だった。

 まさか獣化から戻ったあと、さらに誘う計画だったとか⁉︎


 

「ラビット、お昼寝しよう」
「午後の授業があります」

 いつもと変わらない、フォックス殿下。
 その姿を見て、アルは腹を抱えて大笑いした。

「まったく、ボクの弟子は面白いね」
「え? 弟子? まさか……アルが、ルルノア師匠ですか? ……どうりで、僕に対して意地悪なはずだ」

 なんと、側近のアルはフォックス殿下に魔法を教えた、大魔法使い。なら、なぜ? ラビットの側近になったのかというと――暇だし、おもしろいから。
 
 今では、彼なりに側近の仕事を楽しんでいるみたい。

「いやぁー、大魔法使いになってから人に怒られたのは初めてだ。でも、それがまたいい……」

 アル――ルルノア大魔法使い様は未知の扉を開いたらしい。
 
 精霊獣のルフ様は国の宝で、わたしたちの国を守ってくださるお偉い方。王城にはルフ様しか入れない、特別な部屋があって、その場所で本来の姿で寛いでいるそうだ。

(わたしは王城の中を散歩中のルフ様と出会い、お茶と話し相手いてをしていて仲良くなったのだけど……)

「ラビットの側は気持ちいいにゃ」

 と、ルフ様は言ってくださる。


 
 ❀



 フォックス殿下とはあれからさらに仲良くなったの、だけど、彼はいつもイジワルをしてわたしを獣化させる。

「フォ、フォックス様?」
 
「フフッ、ラビットが可愛いから仕方がない! 僕の仕事は終わらせたから、いまから一緒に昼寝しよう」

「フォックス様⁉︎ わ、わたしの王妃教育がまだです。あと、二時間ほどお待ちください」

「嫌だね、待てないから教育係に話をして、王妃教育は休みにしたから、安心して」

「え?」

 ウキウキで、狐のフォックスに寝室へ連れていかれる。

「アル、アル?」

「ごめん、ラビットお嬢様。フォックス殿下を癒してください。ボクは旦那様に怒ら……報告してきます」 

「あっ……」

 さいきんのアルはまったく役に立たない。

 ルフ様はフワフワと飛んできて。

「アイツもかなり変態になったにゃ。にゃも、いまから寝床にもどって昼寝するにゃ……後はラビットにまかせたにゃ」

 ルフ様?

「ラビット、みんなの許可がでた。今日は朝までガジガジするって決めた」

「ふえっ……? まって、フォックス様、朝はまではまだ無理ぃ!」

「嫌だね」

 目を細めていじわるく、わたしの好きな笑顔で笑っていた。

 
 
 ❀


 後日。

 フォックス様にトリガーを教えて貰ったのだけど。彼のトリガーは自分の好きな人が、自分を好きだとわかったとき、心が温かくなるのだって。

 だから、初めからフォックス様が好き好きな、わたしに反応して、彼は獣化してしまったみたい。それは今も変わらず、わたしのフォックス様の好きな気持ちで、気持ちが良くなって獣化すると言っていた。

 全て、ラビットのせいだよ。
 責任とってね、だって!
< 11 / 11 >

ひとこと感想を投票しよう!

あなたはこの作品を・・・

と評価しました。
すべての感想数:5

この作品の感想を3つまで選択できます。

この作家の他の作品

表紙を見る
表紙を見る

この作品を見ている人にオススメ

読み込み中…

この作品をシェア

pagetop