世界くんの想うツボ〜年下ドS御曹司との甘い恋の攻防戦〜
「……年は確か梅ちゃんの一回り程上で、今年四十五歳よ。年齢的にも丁度いいかなと思うし、何よりお相手の方は、梅ちゃんに一度お会いしてみたいって乗り気なのよ」
私より一回り年上の四十五歳……確かに世間一般で言えば一回り年上の旦那様がいる家庭なんてごまんといる。なんなら少し前までの自分ならば結婚相手が一回り年上で、経済力・包容力があっていつも優しく包み込んでくれる、そんな人と出会えて結婚できたらなんて漠然と考えたこともあったくらいだ。
「お母さん、ごめんなさい……今すぐに返事できない……」
桜子がすぐに眉を下げた。
「……分かったわ。一度、ゆっくり考えて。急がないから。東京には個展のあと書道連合の会議もあってしばらく滞在なの。また帰る前に連絡するから……」
桜子は黒のスプリングコートを羽織ると私の頭をそっと撫でた。小さい頃から母はこうやって、私が泣きそうなとき決まって頭を撫でてくれる。私は緑茶と一緒に転がりそうな涙を飲み込んだ。
「じゃあ、食事と睡眠しっかりね……」
「お母さんもね」
桜子は小さく頷いてから、玄関扉をそっと閉めた。その足音はすぐに遠のいていく。
「……もうぐちゃぐちゃ……」
釣書を眺めていれば世界の顔と桜子の顔が天井に浮かんでは消えてを繰り返す。考えることが嫌になった私はポスンとベッドに横になった。
僅かにシーツから世界の甘い匂いがする。
「間違えたのかな……」
このベッドで、ついさっきずっと気づかないふりをしていた恋心を世界に伝えたのが果たして正解だったのか不正解だったのかわからなくなってくる。
「恋愛に答えがあったら……こんなに苦しく悩むこともないのに……」
馬の鳴き声がスマホから聞こえて開けば、世界からメッセージが届いている。
──『今日の夜ご飯は一緒に食べれる?カレーでいい?』
そして立て続けにメッセージが入る。
──『梅子、昨日は突然キスしてごめん。誕生日はいつも通り同期としてお祝いさせて。去年と同じイタリアン予約したから』
私はスマホをサイレントモードにするとベッド脇に裏返して置いた。そして世界の匂いに顔を埋めるようにして私は瞳を閉じた。
私より一回り年上の四十五歳……確かに世間一般で言えば一回り年上の旦那様がいる家庭なんてごまんといる。なんなら少し前までの自分ならば結婚相手が一回り年上で、経済力・包容力があっていつも優しく包み込んでくれる、そんな人と出会えて結婚できたらなんて漠然と考えたこともあったくらいだ。
「お母さん、ごめんなさい……今すぐに返事できない……」
桜子がすぐに眉を下げた。
「……分かったわ。一度、ゆっくり考えて。急がないから。東京には個展のあと書道連合の会議もあってしばらく滞在なの。また帰る前に連絡するから……」
桜子は黒のスプリングコートを羽織ると私の頭をそっと撫でた。小さい頃から母はこうやって、私が泣きそうなとき決まって頭を撫でてくれる。私は緑茶と一緒に転がりそうな涙を飲み込んだ。
「じゃあ、食事と睡眠しっかりね……」
「お母さんもね」
桜子は小さく頷いてから、玄関扉をそっと閉めた。その足音はすぐに遠のいていく。
「……もうぐちゃぐちゃ……」
釣書を眺めていれば世界の顔と桜子の顔が天井に浮かんでは消えてを繰り返す。考えることが嫌になった私はポスンとベッドに横になった。
僅かにシーツから世界の甘い匂いがする。
「間違えたのかな……」
このベッドで、ついさっきずっと気づかないふりをしていた恋心を世界に伝えたのが果たして正解だったのか不正解だったのかわからなくなってくる。
「恋愛に答えがあったら……こんなに苦しく悩むこともないのに……」
馬の鳴き声がスマホから聞こえて開けば、世界からメッセージが届いている。
──『今日の夜ご飯は一緒に食べれる?カレーでいい?』
そして立て続けにメッセージが入る。
──『梅子、昨日は突然キスしてごめん。誕生日はいつも通り同期としてお祝いさせて。去年と同じイタリアン予約したから』
私はスマホをサイレントモードにするとベッド脇に裏返して置いた。そして世界の匂いに顔を埋めるようにして私は瞳を閉じた。