世界くんの想うツボ〜年下ドS御曹司との甘い恋の攻防戦〜
「それに梅子、アイツはまだ二十二だ。梅子自身のこともましてや梅子の未来を背負うには若すぎる。僕なら梅子の全てを背負ってやる。一生かけてどんなことからも……守ってやるから」

「殿村……私は……」

そう、初めは本当に三か月の期間限定のつもりだった。いつからだろう。世界からの強引なアプローチも子供みたいなわがままも、毎日のように送って来るLINEメッセージも、少年みたいに笑う無邪気な顔も私の心の中に降り積もっていつの間にか心に世界が棲みついている。

「いっぱい悩んだし、自分の今の年で一回り年下の彼と付き合うことがどういうことかも分かってる……でも……自分の気持ちに嘘がつけない。ごめんなさい」

殿村の顔が見ていられなくなって、うつ向いた私の頬に殿村の掌が添えられる。

「……そんな不安そうな顔してる梅子見たら……悪いけど諦められないな」

「殿村……」

「もう十二年待ったんだ、今更待つのは気にならないし。僕だって急に梅子への想いは簡単に消せないから……」

殿村は二重瞼を優しく細めると私の頬からそっと掌を離した。

「御堂と付き合ってみてもらって構わないよ。でも……アイツと付き合う上で梅子が泣いたり不安になったりすることがあったら、その時は搔っ攫うからな」

「え?殿村?」

殿村は立ち上がると、私の手元から空になったココアの缶を取り上げると鞄を抱えた。

「梅子は何も気にしなくていい。そのままでいいから。僕が勝手に待つだけ。だから気にせず御堂と付き合ってみればいいし、僕とは今まで通り同期として接してくれたらいいから。分かったか?」

「そんなこと……」

殿村の話を簡単に解釈すれば、世界と付き合って上手くいかなければ殿村にすればいい。それまで待っているという意味だ。

「殿村のことそんな都合よくなんて……」

殿村がクククッと笑った。

「律儀で生真面目なそういうところも好きなんだ、もう遅い。早く寝ろよ、また明日な」

殿村は片手をあげると私の頭をポンとなでてから背中をむけて歩いていく。
その後ろ姿は寂しげに見えて胸が苦しくなる。

(それでも……私は……)

私はベンチから立ち上がると、殿村の後ろ姿が見えなくなってからエントランスを潜りエレベーターに乗り込んだ。
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