世界くんの想うツボ〜年下ドS御曹司との甘い恋の攻防戦〜
「三十二、三十三、三十四……あれ三十五?梅子さんと同じ年?」

俺は玄関前の廊下の手すりに両腕を預けて夜空に輝く星の数を数えていた。

「おかしいな、さっきは三十三だったのに……」

玄関の位置は中庭とは正反対の為、手すりから見えるのは星空くらいしかない。何度もスマホを見ながら、俺は不安を紛らわすように今夜はよく見える星を数えて時間をつぶしていた。

(もう三十分は経ったよな……まさかこのまま二人でどっかいくとかないよな?)

梅子は俺のことを好きだと言ってくれた。

それだけで十分なのに欲張りな俺は梅子に俺だけを見ていてほしい。ほかの男のことなんて、一ミリも考えて欲しくない。

(……マジで俺、独占欲強かったんだな……)

こんなにマジになる恋愛が初めてで、自分でもどうしたらいいのかなんてまるで分からない。

ただただ誰にも渡したくない。


──チンッ

(あ……)

小さく聞こえてきたエレベーターの到着する音に俺はすぐに振り返る。聞き覚えのあるパンプスの音が響いてきて、駆け足になると俺の目の前でぴたりと止まった。

「……もう、待ってなくても良かったのに」

困った顔をしながら梅子が俺を見上げる。俺はついさっきまで一緒にいたのに、もう何日も会ってなかったかのような錯覚まで起こす。

恋しくて不安でたまらなかった。

俺は梅子の背中に両腕を回すと、梅子の華奢な肩に頭をぽすんと預けた。

「……世界、くん?……」

「マジで帰って来なかったら……どうしようかと思った」

自分でも予想以上に情けなく掠れた声だった。梅子が困ったように笑う。

「……帰って来るにきまってるでしょ……約束したのに」

「え?」

梅子が俺から少し体を離すと俺の頬に触れながら微笑んだ。

「そんな顔しないで。約束したご飯、すっかり遅くなったけど……一緒に食べよ」

梅子の言葉は魔法みたいだ。あっという間に俺の心は軽くなって、目の前の梅子が愛おしくて梅子を俺だけの胸に一生閉じ込めておきたくなる。

「……うん」

「世界くん?」

「ねぇ、いますぐ食べていい?」

「え?……ンッ」

俺は困らせると分かっていながら梅子の唇をぱくんと食べた。
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