世界くんの想うツボ〜年下ドS御曹司との甘い恋の攻防戦〜
世界はスーツとワイシャツをハンガーラックに掛けると、目の前で世界を睨み上げている私の首筋に顔を寄せてくる。

「な、にするの……」

思わずビクッと身体が跳ねて一歩後退する。

「梅子さんもシャワー浴びたんすね、めっちゃいい匂い……」

「そんなこと……聞いてないからっ」

「ねぇ、俺が来た理由そんな聞きたいすか?」

「そりゃそうでしょ!言いなさいよっ」

「そんなん一人じゃ寝らんないからに決まってんじゃん」

世界が当たり前のように涼しい顔で平然と答える。

「ばかっ、つい昨日まで一人で寝てたでしょうが!もう帰ってよ、す、すっぴんだし……きゃあっ」

世界が腰を抱くと直ぐに私の顎を持ち上げた。世界の綺麗な切れ長の瞳に私が小さく映っている。

「へぇ、ほんとだ。やっぱ幼く見えますね、すっぴんもツボかも」

「もう離してっ」

世界はするりと腰から掌を離すと私をぎゅっと腕の中に閉じ込めた。

「やだよ。泊まる。だって俺、梅子さんと離れたくないもん」

「なっ……」

真っ赤になったのは勿論私の方だ。
もうやめて欲しい。
世界の言葉も瞳もキスも全部が私をあまく溶かしていく罠だ。

(こんなの……全部……)


──世界くんの想うツボ。


「家帰ってシャワー浴びたらさー、もう梅子さんに会いたくなった。ねぇ梅子さんは?俺帰ってから寂しくなかった?」

「それは……」

寂しくなかったかといえば嘘になる。二人でいる何気ない時間はあっという間でいつだって楽しくて、心がほっとする。

世界が何でもストレートに言葉にするからだろうか。世界の前だといつもは言えないような恥ずかしい言葉も、いつのまにか口にしてしまう。

私は観念すると世界の胸元にこつんと額を寄せた。

「………ちょっとだけ……寂しかったかも」

「素直な梅子さんもめちゃくちゃツボですね、ベッドいこ」

世界はリビングの電気を消すと、私の手をひいて寝室の扉を開けた。
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