世界くんの想うツボ〜年下ドS御曹司との甘い恋の攻防戦〜
──コンコンコンッ

「入りなさい」

(え?……)

ノックの音と共に入って来たのは殿村だった。

「失礼致します」

「社長これはどういう……」

殿村は知っているのだろう。私の顔をみても顔色一つ変えずに社長に一礼すると私の隣の腰かけた。

「いま源課長にも花田不動産の都市開発の件話したところよ。メールにも入れたけど、さ来週の花田不動産と契約している大手建築業者との接待、予定通りお願いしてもいいかしら?」

(接待?)

「承知いたしました」

殿村が頷くのをみながら、由紀恵の視線は私に再度向けられる。

「この都市開発の件はまだ限られた人しか知らないの。さ来週の接待だけど本来、私も同席するつもりだったんだけどね、向こうの社長さんが急遽海外出張入ったそうで代わりに部長クラスが来られるみたいだから、あなたと殿村でしっかり接待してきて頂戴。あと急ぎの小規模見積もりがあって、来週末からの海外出張にもっていきたいの。源課長作成頂けるかしら?」

「え?」

私は唇を噛み締めた。ただでさえ大きな現場の見積対決、さらに内密に作成となれば本格的に図面と向き合うのは勤務時間が終わってからになるだろう。さらに社長から直接依頼された見積もこなすとなれば、都市開発の見積期限は三週間あっても到底足りない。

「源課長?いいかしら?」

(社長は……私に見積作成する時間を極力取らせない気なんだ……負けるもんか)

私は真っすぐに由紀恵の目を見て返事をする。

「承知いたしました」

由紀恵が含み笑いをすると両手をパチンと一つ叩いた。

「話は以上よ。さて、お手並み拝見ね」

私と殿村は立ち上がると静かに社長室を後にした。
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