世界くんの想うツボ〜年下ドS御曹司との甘い恋の攻防戦〜
──あれからあっという間に二週間が過ぎ去った。

(マジで限界、キスすらもう二週間してないとかどうなんだよ……俺まだ22なんすけど……盛りのつきまくってる噛み犬なんすけど……)

わかっていたことだが、これほどまでに二人きりで梅子と会えない日がキツイとは思わなかった。梅子は宣言通り毎日夜遅くまで残業し、家に帰ってからも見積りをしているようで、俺は梅子の邪魔をしないよう、梅子から会いたいと言ってこない限り徹底的に職場でのサポートにつとめ、プライベートでは梅子を俺のことで困らせることが無いよう限界まで我慢しようと心に決めていた。

(のはずが、もう我慢の限界がきてんだよな……)

俺は梅子のテキパキと仕事をこなす凛々しい横顔を眺めながら、椅子を足で転がすと梅子の身体に寄せた。

(シャンプーどこの使ってんだろ。この梅子さんの髪の匂いツボ)

梅子の甘い髪の匂いを嗅いでしまうと、もっともっとくっつきたくなる。ここがオフィスじゃなかったら梅子がどんなに嫌がっても、自称年下お代官様による梅子押し倒し案件間違いなしだ。

俺は邪悪な気持ちを頭の片隅に押しやると小声で梅子に声をかけた。


(ちょっと話すくらいならいいよな……)

「梅子さん、緑茶入れてきましょうか?」

「あ……大丈夫、ありがと」

(うわ、思った以上にそっけねー……)

「梅子さん……」

「どしたの?」

俺は用事がないのに話しかけたとも言えず咄嗟に梅子のデスクの上のカレンダーを見つめた。

「あれ?接待って今日?」

直ぐに梅子の視線が揺れる。

「今日だよね、カレンダー書いてある」

今日の日付の下に小さく赤ペンで〇印に『接』と記載されている。俺が指させば梅子もカレンダーに目を遣り小さく頷いた。

「まあ……」

「俺も行こうか?」

俺は無理だと分かっているのに梅子に訊ねた。

「仕事……だから」

「だよね……分かった。何かあったらすぐ俺に連絡して」

「うん、ありがと」

本当は分かってなんかない。分かりたくもない。梅子が酒の席にそれも殿村と行くなんて考えただけで脳みその血管が一本切れそうだ。俺は左手に拳を作ったまま深呼吸を繰り返す。

(我慢我慢……ちょっとは大人にならねぇとな)

俺は自分の席に戻ると商品カタログをみながら盛大にため息を吐きかけた。

「ん?世界くん大丈夫?どこか見積わからないとこあった?」

カタログから視線を上げればすぐに梅子と目が合う。

「あ、別に……ないけど……」

「そう、また何か困ったことあったら声かけてね」

それだけ言うとまた梅子は忙しくパソコンを叩き始める。

(梅子さんってやっぱ仕事熱心すぎるとこあるよな……俺より仕事……ってことないよな……?てゆうか、そんな漫画に出てくるガキみたいなこと聞けるかよっ)
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