世界くんの想うツボ〜年下ドS御曹司との甘い恋の攻防戦〜
「源課長おめでとうございます!」

「え?」

顔を上げれば、橋本が垂れ目の目尻を更に下げながらこちらをみて拍手をしている。その瞬間に山中の掌がさっと引っ込められた。

「あの……」

「いやー、まさか殿村部長と婚約中とは知りませんでした。実におめでたいですな」

「橋本部長ありがとうございます」

私が口を開く前に殿村が笑顔で言葉を返した。

(どういうこと?殿村と私が婚約……)

「ではそろそろお開きにしますかね、殿村部長と源課長のお邪魔ですしね、ガハハハ」

「橋本部長、ちょうどハリヤーが着く時間ですのでお見送り致します」

「いやー、殿村部長は気が効くね。じゃあ山中君帰ろうか」

「はいっ、橋本部長」

その声に山中が私の方を見もせずに慌てて立ち上がる。
殿村が私に視線を合わせると、まわりに気づかれないように小さく頷いた。

(あ、殿村……気づいて……)

「あっ……」

私は見送りに立ちあがろうとして足の痺れから前のめりになりバランスを崩したが、すぐに殿村の大きな腕が私の身体を遠慮がちに支えた。

「大丈夫か?」

「うん、足が痺れちゃって……」

「ハハハハッ、これはこれは仲睦まじいですな、殿村部長、見送りは結構ですから。未来の奥様の足を見てあげてください。それではまた」

「お気遣い頂きすみません、ありがとうございます」

殿村が頭を下げるのを見て私も慌てて頭を下げた。

「本日はありがとうございました」

私達を目を細めながら橋本が掌を上げて軽く振った。


そして山中と共に部屋から出て行くと、私は喉に溜めていた空気をようやく吐き出した。

「梅子、大丈夫か?ごめんな」

殿村がしゃがみ込むとすぐに私を覗き込む。
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