世界くんの想うツボ〜年下ドS御曹司との甘い恋の攻防戦〜
私は自宅に帰るとすぐに鍵をかけ、リビングに座り込んだ。震えの止まらない身体を両腕で抱えるようにして小さくなる。
「……ひっく……何でこうなるんだろ……」
ここ最近二人で会えないのも、慣れない見積作成に悪戦苦闘するのも、行きたくもない接待に同行するのも、全部世界との交際のためにと思ってやってきたのに、結局何もかもうまくいかない。
「……怖かった……」
床にはすぐに小さな水玉が無数にシミになって吸い込まれていく。あんな世界は初めて見た。今までは一回り年下ということもあり、男の人というよりも可愛い男の子のイメージが強かった。
でもさっきのベッドでの世界はまるで別人だった。痛いほどに掴まれた手首も乱暴なキスもいつもと全然違って、怖いほどにちゃんと男の人だった。
私は世界の頬を叩いた右の掌を開いた。まだ世界を叩いた時の感触が残っていて、じんと痛みを感じる。きっと殴られた世界の方がずっと痛い。ずっと傷ついた筈だ。
「世界……くん……ごめんね……」
殿村とのことももっと誤解のないように伝えたかったし分かって欲しかった。世界は私を心配して何時間、ああして玄関先で待ってくれていたんだろう。
私は鞄の中からスマホを取り出すとようやく電源を入れた。
「……あ……」
電源を入れればすぐに液晶画面は世界からのメッセージで溢れかえる。
──『残業おつかれ様、接待気をつけて行ってきてね』
──『接待中ごめん。大丈夫?何かされたりとかしてない?』
──『接待終わった?迎えに行きたいんだけど、場所どこ?』
──『電源入ってないけど何かあった?これ見たらすぐ連絡して』
途中まで読んでその後は画面ごと霞んでいく。急に世界に会いたくなる。私は世界の名前をスマホに浮かべて指先を画面に乗せようとして離した。
「……今は……私と話したくないよね……」
画面を黒くして裏返すとすぐにスマホが震えた。
「世界、くん?……あ……」
メッセージの相手は殿村だ。
──『あのあと御堂とは大丈夫だったか?なんか梅子が泣いてるんじゃないかと思って気になってメールした。違ってたらごめん。寝てたらごめん。いつでも電話してくれていいからな。御堂の誤解がとけないようなら、週明け僕から話すから』
「……大人だな……殿村は……」
どんな時でも冷静で相手を気遣う余裕がある。
再び溢れた涙を拭うと私はベッドに沈み込んだ。一人で寝転んだベッドは何故だかいつもより広く冷たく感じる。そして世界に噛まれた跡だけが、小さく熱を帯びている。
「……痛いよ……」
瞳を閉じても枕に顔を埋めても、まるで世界が泣いてるみたいに、その跡がいつまでもじんと痛んだ。
「……ひっく……何でこうなるんだろ……」
ここ最近二人で会えないのも、慣れない見積作成に悪戦苦闘するのも、行きたくもない接待に同行するのも、全部世界との交際のためにと思ってやってきたのに、結局何もかもうまくいかない。
「……怖かった……」
床にはすぐに小さな水玉が無数にシミになって吸い込まれていく。あんな世界は初めて見た。今までは一回り年下ということもあり、男の人というよりも可愛い男の子のイメージが強かった。
でもさっきのベッドでの世界はまるで別人だった。痛いほどに掴まれた手首も乱暴なキスもいつもと全然違って、怖いほどにちゃんと男の人だった。
私は世界の頬を叩いた右の掌を開いた。まだ世界を叩いた時の感触が残っていて、じんと痛みを感じる。きっと殴られた世界の方がずっと痛い。ずっと傷ついた筈だ。
「世界……くん……ごめんね……」
殿村とのことももっと誤解のないように伝えたかったし分かって欲しかった。世界は私を心配して何時間、ああして玄関先で待ってくれていたんだろう。
私は鞄の中からスマホを取り出すとようやく電源を入れた。
「……あ……」
電源を入れればすぐに液晶画面は世界からのメッセージで溢れかえる。
──『残業おつかれ様、接待気をつけて行ってきてね』
──『接待中ごめん。大丈夫?何かされたりとかしてない?』
──『接待終わった?迎えに行きたいんだけど、場所どこ?』
──『電源入ってないけど何かあった?これ見たらすぐ連絡して』
途中まで読んでその後は画面ごと霞んでいく。急に世界に会いたくなる。私は世界の名前をスマホに浮かべて指先を画面に乗せようとして離した。
「……今は……私と話したくないよね……」
画面を黒くして裏返すとすぐにスマホが震えた。
「世界、くん?……あ……」
メッセージの相手は殿村だ。
──『あのあと御堂とは大丈夫だったか?なんか梅子が泣いてるんじゃないかと思って気になってメールした。違ってたらごめん。寝てたらごめん。いつでも電話してくれていいからな。御堂の誤解がとけないようなら、週明け僕から話すから』
「……大人だな……殿村は……」
どんな時でも冷静で相手を気遣う余裕がある。
再び溢れた涙を拭うと私はベッドに沈み込んだ。一人で寝転んだベッドは何故だかいつもより広く冷たく感じる。そして世界に噛まれた跡だけが、小さく熱を帯びている。
「……痛いよ……」
瞳を閉じても枕に顔を埋めても、まるで世界が泣いてるみたいに、その跡がいつまでもじんと痛んだ。