世界くんの想うツボ〜年下ドS御曹司との甘い恋の攻防戦〜
──(月曜日か……)

あのあと週末、初めて世界から連絡は来なかったし、私もなんだか気まずくて連絡しなかった。会社のエントランスを潜りエレベーターのボタンを押せばすぐにが扉が開く。今朝は特に早めに出社したため乗るのは私だけだ。この時間なら、早起きで仕事熱心な明菜くらいしか来ていないだろう。

(普通に、笑っておはよう、かな?いや違うよね……かと言って……職場で無視……なんて絶対違うし)

私は世界との朝のやり取りをこうやってもう何パターンも頭の中で浮かべては消してを繰り返している。

(やっぱり気まずいな……世界くんもだんまりだし……年上として大人な対応って何だろう。恋にも方程式やマニュアルがあればいいのに)

「とりあえずは……おはようを言うことだよね」

誰もいないエレベーターの中でボソリと呟くと同時に見積課のフロアに到着する。見慣れた見積課の扉を開ければ、すぐに明菜が駆け寄ってきた。

「おはようございます!梅将軍、大変です!」

「ん?おはよ、どしたの?」

明菜に返事をしながら、さり気なく自分のデスクの隣を見れば、まだ世界は出勤してきていないようだ。

「梅将軍!いま、人事部から社員に一斉メールがきて……御堂くんが本日付で社長秘書に異動になったって」

「えっ!それ、どういう……」

私は慌ててパソコンの電源を入れると、明菜の言う通り人事異動のメールが入っている。クリックして間違いないことを確認すると急に動機がしてくる。

(どういうこと……世界くんが私と会うのが嫌で異動希望だした?いやそんなこといくら何でも急に……?)

「それと人事部の友達から聞いたんですけど、今日から御堂くん、早速社長に同行して韓国支社に出張に行ったみたいで、帰国するのは今週の木曜の夜中みたいです」

「そう、なんだ……」

隣のデスクを見れば世界の使っていたデスクはそのままだ。商品カタログやパソコン、陶器色見本、時折小休憩でコーヒー片手に世界が眺めていた私物の料理本までもそのままに置き去りになっている。
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