世界くんの想うツボ〜年下ドS御曹司との甘い恋の攻防戦〜
ふわふわする。
辺りは真っ暗だ。
(……ん……あれ……?……)
──ヒヒーンッ
ふいに鳴ったスマホの音に身体がビクンと震えて肘がデスクからずり落ちた。
「……え、私……寝てた?」
ガバッと顔を上げて慌てて壁掛け時計を見れば十一時を回っている。
「……二時間近く……寝てたの?」
いくら疲れていたからと言って会社で眠ってしまったことなど一度もない。
そして私は慌ててパソコン画面をのぞき込んで口元に手を当てた。
「嘘っ……」
私がこの三週間必死で作成した見積りデータはどこにもない。タスクバーを何度見てもデスクトップにもファイルにもどこにもない。指先も唇も震えてきて頭の中が真っ白になる。
「なんで……こんな……一体、誰が……あっ」
僅かに漂っている瑞々しい香水の香り、コーヒーの差し入れ、紙コップの回収。
──やられた!!
「……そんな……見積データ根こそぎ消去するなんて……」
ぽたんぽたんとデスクの上に涙の粒が落下していく。
「……ばかだわ……ライバルのコーヒー受け取ったりして……もっと気をつけなきゃいけなかったのに……」
必死なのは余裕がないのは心奈も同じだ。
そして世界のことが本気なのも。
だから何がなんでも勝ちたいのも。
心奈がどんな手段を使ってくるかも分からない以上、疑い深く対応しなければならなかったのに。
「ひっく……どうしよう……ぐす……」
どんなに泣いても見積提出は明日の九時厳守だ。
辺りは真っ暗だ。
(……ん……あれ……?……)
──ヒヒーンッ
ふいに鳴ったスマホの音に身体がビクンと震えて肘がデスクからずり落ちた。
「……え、私……寝てた?」
ガバッと顔を上げて慌てて壁掛け時計を見れば十一時を回っている。
「……二時間近く……寝てたの?」
いくら疲れていたからと言って会社で眠ってしまったことなど一度もない。
そして私は慌ててパソコン画面をのぞき込んで口元に手を当てた。
「嘘っ……」
私がこの三週間必死で作成した見積りデータはどこにもない。タスクバーを何度見てもデスクトップにもファイルにもどこにもない。指先も唇も震えてきて頭の中が真っ白になる。
「なんで……こんな……一体、誰が……あっ」
僅かに漂っている瑞々しい香水の香り、コーヒーの差し入れ、紙コップの回収。
──やられた!!
「……そんな……見積データ根こそぎ消去するなんて……」
ぽたんぽたんとデスクの上に涙の粒が落下していく。
「……ばかだわ……ライバルのコーヒー受け取ったりして……もっと気をつけなきゃいけなかったのに……」
必死なのは余裕がないのは心奈も同じだ。
そして世界のことが本気なのも。
だから何がなんでも勝ちたいのも。
心奈がどんな手段を使ってくるかも分からない以上、疑い深く対応しなければならなかったのに。
「ひっく……どうしよう……ぐす……」
どんなに泣いても見積提出は明日の九時厳守だ。