世界くんの想うツボ〜年下ドS御曹司との甘い恋の攻防戦〜
──ヒヒーンッ

再度鳴ったスマホに手を伸ばし液晶画面を確認する。

(あ……)


見れば、ずっと待っていた世界からメッセージが二通届いている。私は文字がよく見えるように袖で涙を拭った。

──『ずっと連絡しなくてごめん……どんな顔して連絡したらいいのかわかんなくて。あと異動のことも金曜の夜中にボスから連絡あったから、直接言えなくてごめん。もう、家?それともまだ会社?見積できた?俺はいまから飛行機乗って帰るとこ』

──『怒ってるよね。ほんとにごめん、直接謝りたいから、もう一度だけ俺と会ってくれませんか?』

そのメッセージを私が確認した途端、すぐに暴れすぎ将軍の着メロが流れてくる。私は迷わずスワイプした。


「……もしもし?」

私は泣いていたことがばれないようにできるだけいつも通り声を出す。

『どした?泣いてたの?』

「え?……」

『なんか……元気なく感じたから……大丈夫?』

六日ぶりに聞く世界の少し高めの甘い声に、片目からまた一粒涙が転がった。

「うん……大丈夫。泣いてないよ……ちょっと疲れてるだけだから」

『梅子さんもう家?』

一瞬返答につまる。
本当は正直に全部言ってしまいたい。
もう全部投げ出してしまいたい。

世界の声を聞けば途端に想いが溢れて会いたくてたまらなくて、胸が苦しくて痛い。

「うん……もう家だけど、見積提出したら、ほっとしちゃって……話すの明日でもいいかな?」

『……もう寝たいってこと?羽田ついたら……ボス送ってからだから家に着くまで三時間ほどなんですけど……やっぱ迷惑ですよね、すいません』

迷惑なんかじゃない。できることなら今すぐにでも会いたい。もう涙はずっと溢れる寸前だ。

私は唇をきゅっと噛み締めた。
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