世界くんの想うツボ〜年下ドS御曹司との甘い恋の攻防戦〜
「じゃあ早速結果発表と行きましょう。お互いのを見なさい。あなたたちならそれで分かるはずよ」

心奈が一歩、社長のデスクに歩み寄ったのをみて私も一歩前へと足を出した。

デスクの上に二つの見積書の束が置かれると直ぐに、心奈が私の見積書に手を伸ばした。私も心奈の見積書を手に取ると直ぐに捲っていく。

(え……?)

一枚一枚端から端まで目追いかけながらページをめくっていくたびに動機がしてくる。心奈の見積りは、それ自体は良くできているがやはり甘い。商品施工の際の部品漏れや個数間違いもちらほら見受けられる。

(……でも……)

私は思わず口元に掌を当てた。
その掌はカタカタと震えだす。

この見積りに心奈がどれほど真摯に向き合い取り組んだのか目に見えて分かる。特に予想はしていたがお金まわりの算出はほぼ完ぺきじゃないだろうか。

(これじゃあ……)

目の前の景色がぼんやりとしてくる。心奈に一度は見積書を消去されたりと卑劣なことをされたが、そもそもあんなことをされなくても勝負はついていた。


「っ……」

私が首を垂れた時だった。

「いやぁあああ!」

隣を見れば心奈が床に崩れ落ちていく。

「え……?」

由紀恵が椅子から立ち上がると心奈を見下ろしながら、やれやれと小首を傾げた。

そして由紀恵は私に掌を差し出した。
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