世界くんの想うツボ〜年下ドS御曹司との甘い恋の攻防戦〜
すぐにざっと目を通せば中規模の現場図面だ。

「悪いな。梅子これ今日中金庫20時で宜しく」

「な……嘘でしょ。ちょっと私だって忙しいのよっ」

「だよな、でもこれでどう?」

口を尖らせた私に、すかさず殿村が暴れすぎ将軍最新DVDを差し出した。

「嘘!先週発売されたばっかりの暴れすぎ将軍最新DVD。初回特典の缶バッチつきじゃない!わぁ!!嬉しいっ」

「いつもながら喜んでもらえてなにより。それ見積りのお礼と誕生日のお祝い兼ねてるからな」

(あ……)

私は殿村がこのDVDを誕生日の食事の際に渡そうとしてくれてたんじゃないかとふと頭に過ぎった。

殿村が唇を引き上げた。

「だから、同期としてだよ。そんな顔するな、わかったか?」

頷いた私に殿村が頭を撫でようとして、すぐに手を引っ込めた。

「良かったな、梅子」

「え?」

「幸せそうだ。だから僕も嬉しい、末永く大事にしてもらえよ」

やっぱり殿村の優しさに目の前がぼやけてきて、私は殿村に背を向けると袖で拭った。

「……殿村……ありがとう」

「どういたしまして。ていうか……あいつはほんとに噛み犬だったんだな」

「え……なんで噛み犬って……」

「ま、元々おすわりも待てもできない子犬くんだからな。しっかりしつけとけよ」

殿村があきれたように私の耳たぶを指さして、私は真っ赤になって俯いた。そして殿村が私の背後に目をやった。

「ん?朝から梅子は人気者だな。じゃあ僕はこれで」

「え?殿村?」

殿村がもう一度、私の背後に視線だけ向けると自身は背を向け営業課へ向かって歩き出す。


──「源課長」

後ろを振り返った私は思わず目を見開いた。
< 246 / 291 >

この作品をシェア

pagetop