世界くんの想うツボ〜年下ドS御曹司との甘い恋の攻防戦〜
「御堂くん、ご案内しますよ」

「あ、森川さんすみません。俺、源課長の仕事ぶりを間近でみて勉強したいんで、特別に源課長の隣の席にしてもらえないでしょうか?」

「え?ちょっと、何言って……」

「源課長は黙っててください。俺今、森川さんと交渉中なんで。ダメですかね?」

世界は背の低い明菜をのぞき込むようにして甘えるような声を出した。

(え?なに?どういうつもりなのよ……?)

明菜を見れば、うつ向きがちに背中を丸めながら顔を真っ赤にしている。

「……えっと、じゃあ特別にってことで……デスク移動で回線つなぎなおすと自動的に内線番号が変わってしまうので、あとで陶山社長に御堂くんの内線番号、私からメールでお伝えておきますね」

「森川さん、ありがとうございます。嬉しいです」

世界は爽やかに微笑みながら、すぐにデスクを無理やり移動させると私の横に座った。

「えっと。じゃあ梅将軍、私見積りあるんでデスクに戻ります。何かあったら呼んでくださいね」

「あ、明菜ちゃんありがと」

明菜が席に戻ると、すぐに私は右隣からの世界の視線に落ち着かなくなる。

「源課長、俺なにしたらいいですか?」

「商品カタログ持ってる?」

世界はパソコンを立ち上げると、鞄の中から商品カタログを取り出した。

「とりあえず初日だから、御堂くんは商品カタログ見ながら施工図だして、実際の現場施工でどのパーツが必要か勉強してくれるかしら?まずは見積書作成するには商品知識は勿論のこと、施工についても詳しくならなきゃ話にならないからね」

私は緊張を悟られないようにできるだけ淡々と説明する。世界はすぐに商品カタログを見ながら黙々と施工図と照らし合わせていく。

(へぇ……会社では素直に言うこときくんだ……)

朝の最悪な態度のイメージが強い私にとって、今隣にいる世界は借りてきた猫状態にみえる。

世界がくすっと笑った。

「な、なによ。気持ちわるいわね」

「いや、今俺のこと考えてましたよね?」

(こいつ何て言った?)

世界は商品カタログを片手にこちらに、ずいと身体を寄せてくる。また朝と同じ世界の甘い匂いが鼻をかすめて勝手に胸がドキドキしてくる。

「ちょ……近い……」

「こんくらいで動揺してたら俺の隣つとまりませんよ」

「それ、どういう意味よっ」

「まんまの意味です」

そして世界は、私のマウスを持つ右手に自身の左手を重ねた。
< 25 / 291 >

この作品をシェア

pagetop