世界くんの想うツボ〜年下ドS御曹司との甘い恋の攻防戦〜
ノックすればすぐに返事が帰ってきて、私はゆっくりとドアノブを開く。

ここに来るまでも最後の最後まで迷いは消えることはなかった。

「会うのが遅くなってごめんなさいね、打ち合わせで出ていたの」

由紀恵は足を組むと、ソファーの前を指先した。

「いえ……お時間とって頂きすみません」

私は軽く会釈すると由紀恵の真向かいに座った。座ればすぐに由紀恵が口を開いた。

「あなたがわざわざ時間を取って欲しいというくらいだから、世界のことよね?」

私はスカートの上で掌を握った。

「はい……御堂くんの……イタリア行の件でお話に参りました。

直ぐに由紀恵の瞳がわずかに大きくなった。

「あら、世界から聞いたわけじゃないわよね?」

「はい……たまたま御堂くんの鞄をひっくり返してしまって……その時にイタリア行の件を知りました。御堂くん本人からは……聞いておりませんし私には話さずにこの件をお断りするつもりだと思います。期限は今日まで……ですよね」

「当たりよ。すでに午前中世界に確認したら、この件は丁重においてお断りしてほしいとのことだったわ」

(やっぱり……)

私はトクトクと鳴りだした鼓動を押さえながら口を開く。

「あの、先方にお話は……」

「まだよ。はっきり聞くけど、あなたがこうして世界に内緒で私のところに来たということは、あなたの意志は世界とは違うと思っていいのかしら?」

私は奥歯を噛み締めてから静かに言葉を吐き出した。
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