世界くんの想うツボ〜年下ドS御曹司との甘い恋の攻防戦〜
「はい……私は御堂くんのいつか……陶器を使ったインテリアを開発しTONTONの新しい主力商品をにしたいという夢を実現してほしいと思っております……私との……交際のせいで夢を……諦めて欲しくありません。ですので……イタリア行の話を進めておいて頂けないでしょうか?……来週までに御堂くんと別れ……ますので」

「……世界にはなんていって別れるつもり?あなたと離れるのだけはどうしても嫌みたいだったわよ。すんなりあの子が別れるかしら?」

「……私は今の仕事を手放すことが出来ません。でも本当に好きな人であれば仕事を辞めてついていく選択肢もあると思うんです。だから……私は御堂くんが思ってくれているほど御堂くんのことを大切に思っているかと問われたら……」

「世界より仕事が大事と答えるつもり?」

「はい……」

「たかが三年よ」

「え?」

「世界が帰って来るまで三年待とうとは思わないの?」

三年待てるかと言われたら不安はあるが待ちたい気持ちが大きい。でも今年三十五歳の私を、三年待たせる側の世界からしたらきっとプレッシャーに感じる、そう思った。世界にはイタリアで私のことで後ろ髪惹かれることなく夢を実現するために、自分のことだけを考えていて欲しい。

由紀恵が瞼を伏せるとふうっと吐息を吐いた。

「……ほんと……真っすぐで心に濁りがなくていつも相手のことばかり優先して……正勝さんにそっくりね」

「えっ……」

その名前に私は思わず声が突いて出た。

(どうして……お父さんの名前……)

「そうよね……驚くわよね。私もあなたを新入社員で入ってきたのを知った時とても驚いたもの」

由紀恵が黙って立ち上がると本棚のガラス戸を開き、中から淡いうすピンクの釉薬のかかった湯飲みを取り出した。

──(えっ……)
< 272 / 291 >

この作品をシェア

pagetop