世界くんの想うツボ〜年下ドS御曹司との甘い恋の攻防戦〜
掌にそっと乗せられたのは、犬の形をした目覚まし時計だった。

「わぁ……可愛いっ、ありがとう」

黒毛に切れ長の瞳の犬がおすわりをしていてお腹の部分が文字盤になっている。その姿はどこか意地悪でどこかの噛みつきワンコによく似ている。

「ん……あれ?この子……世界くんに似てる……?」

すぐに世界が自慢げに鼻を鳴らした。

「わざわざ似てるからネットで取り寄せたんすよ。これなら朝一番に俺思い出すでしょ?で夜寝る前にタイマーセットするから、その時も俺のこと思い出すっていう一石二鳥の目覚まし時計っす。てことで朝から晩まで死ぬ気で、俺のことだけ考えとけよ」

「相変わらずめちゃくちゃね……」

私はじっと犬の目覚まし時計を眺めた。

「これは……噛んだりしないわよね?」

私が眉を顰めるのを見て世界がクククッと笑う。

「あ、その機能欲しかったんすけどねー。俺の代わりに毎日梅子さんに噛み痕つけといてくれるやつ」

「ちょっと、恐ろしい事いわないでよっ」

「ぷっ、でもいい機能ついてんの。鳴ったらここ押してみて?」

世界がアラームを1分後にセットするとにんまり笑った。時計の秒針がゆっくり一周するとピピピピッとアラームがなる。

私は言われた通り犬の頭の部分をちょこんと押した。

──『梅子さん起きた?朝だよ!今日も好きです』

押した途端に目覚まし時計から聞こえてきた声は間違いなく世界の声だ。すぐに顔が熱くなる。

「えっと……こ、これって……録音できるの?」

世界が満足そうに笑った。

「そうっすよ。どう?」

「ど……どうって……」

「ツボっすね。そんな真っ赤になってくれんだ?」

世界にのぞき込まれれば耳まで熱くなる。
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