世界くんの想うツボ〜年下ドS御曹司との甘い恋の攻防戦〜
心臓がえぐられたように痛い。

仕事は大事だ、でも圭太と付き合っていた五年間、私は圭太との恋も仕事と同じくらい大切だった。学校で数学を教えている圭太は、テスト期間になると忙しくて食事をおろそかにしがちだったため、平日も料理アプリ見ながら慣れない食事を作りにいったことを思い出す。交際三年目あたりからは穏やかで優しい圭太とのふたり寄り添う未来を私はどこかで夢見てた。

──もう最後の恋だと思ってたから。

「えぇ……仕事は好きだし、裏切らないから……」

「あはは。確かにそうですね、とられちゃうことないですもんね」

思わず目に涙の膜が張りそうになる。
私は何も悪いことしてない。
それでも心が空しくて、みじめで呼吸が苦しくなる。

「……じゃあこのあたりで……」

(早くこの場から離れたい)

もう自分の意志に反して涙が転がる寸前だ。

「はい、お気をつけて。あ、でもあんまりお仕事頑張りすぎてたら結婚できませんよ。気をつけてくださいね」

──「ふっ……ほんと、大きなお世話っすね」

ふいに頭上から降ってきた言葉とともに私の背中があったかくなって、長い腕が首元に絡みついた。知っている甘い香りが鼻をかすめる。

「おまたせ。梅子さん」

「え?御堂……くん」
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