世界くんの想うツボ〜年下ドS御曹司との甘い恋の攻防戦〜
(その分、梅子さんが抱えすぎなんだけどな)
いつか梅子の抱えすぎた荷物を俺にも分けてくれるだろうか?大きな荷物だって二人で持てば重たくはない、もっと梅子が頼りに思ってくれるような男になりたい。本当は今すぐにでも。
(焦ってもしかたねぇけどな……)
どんなに焦っても急に年をとることもできなければ梅子と同じように社会人経験を積むこともできない。それでも俺は、何が何でも梅子を振り向かせたい。
──梅子は俺の初恋だから。
梅子が俺の目の前に立つと、女性に掌で座席を指し示した。
「えと、13列のMだから……私の席の真後ろの席です」
「ありがとう、本当に助かりました」
「いえ、全然です、それでは」
梅子が女性に軽く礼をすると俺の隣に座りなおす。女性が通りすがりに俺たちをみてにこりと微笑んだ。
「あら、ご姉弟で映画なんてとても仲がいいのね」
(ん?姉弟って言ったか?)
俺が口を開こうとして先に梅子が答えた。
「あ、えと……よく言われます……」
(ちがうだろ……)
梅子はそう女性に答えながらも俺の視線に少し困ったような顔をしている。俺はすぐに梅子の手を掴むと強引に指先を絡めた。
「あの、俺、弟じゃないです。彼女と付き合ってるんです」
絡めた指先を見ながら女性が驚いたあと、顔を皺皺にして笑った。
「あ……大変失礼いたしました。そうでしたか、気遣いのできる素敵な女性ですね」
「そうなんです。自慢の彼女です。ありがとうございます」
「ふふ……それではお互い楽しみましょうね」
女性が通り過ぎると、俺はすぐにつないだ指先を引き寄せるようして梅子を隣に座らせる。梅子の体温が伝染して俺の鼓動は案の定すぐにトクトク音を立てる。梅子をちらりと見れば、つないだまま離さない指先に戸惑ったのか頬をほんのり染めた。
「あの……」
梅子が蚊の鳴くような声で小さく唇を動かす。