世界くんの想うツボ〜年下ドS御曹司との甘い恋の攻防戦〜
(お、これがイケオジってやつか……)

『いつも暴れすぎ将軍を応援くださいありがとうございます』

俺はよく知らないが、今映画館の舞台で挨拶しているイケオジが時代劇『暴れすぎ将軍』の松平健次郎らしい。年は四十代後半から五十代だ。

(まさか、梅子さんって元々年上がタイプとか?)

隣で子供みたいに目をキラキラさせている梅子を見れば、すぐに小さな嫉妬が芽生えてくる。

(俺にはあんな目したことねぇよな……)

『……であり……となる記念すべき……』

隣の梅子がつないでいない方の左手を握り、顎の下に置いたまま熱い視線を送っている。

『どうぞ最後までたのしみください』

盛大な拍手と共に将軍姿の松平健次郎が一礼し舞台袖にきえると、映画館は暗くなる。完全に真っ暗になる前に横目で梅子を見れば、まるで子供みたいにわくわくしながら本編が始まるのを待っているのが見えた。

(嬉しそうだな、てゆうかそんな顔もするんだ)

自分が大人になってから再会した梅子は、子どもの頃はもっと大人だと思っていたのに、こうして休日を過ごせば子供みたいな笑顔を見せたり、俺にいじめられて恥ずかしそうにしたり、見るたびに色んな表情を見せてくれる。いろんな梅子に出会うたびに俺の鼓動は早くなって、隣の梅子にもっとくっつきたくなる。

(好きだな……)

俺は絡めた指先から伝わる梅子の温もりの心地よさを感じながら、梅子の甘い髪の匂いに誘われるように眠りに落ちた。
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