世界くんの想うツボ〜年下ドS御曹司との甘い恋の攻防戦〜
──「承知いたしました。では見積を変更致しまして本日中にFAX致します」

俺は梅子の得意先への電話応対を聞きながら、デスクの上のカレンダーに目を遣った。今日は金曜日。休日前の見積課はいつにもまして忙しい。

(梅子さんとまだ付き合って三週間か。いやもう三週間じゃねえの……?)

俺は左手でボールペンをくるっとまわすと見積画面に視線を戻す。隣の梅子はいつものように図面をみながら黙々と商品品番を入力し、掛け率をいれて見積書を仕上げていく。そのスピードは目を見張るほど早く正確だ。

「お仕事中ごめんなさい。御堂くん、今日の新入社員歓迎会って来れますよね?」

「え?」

「はい、どうぞ。」

声の方へ顔を上げれば明菜がコーヒーを俺のデスクに置きながら、にこっとほほ笑んだ。

「あ、すみません。ありがとうございます。えっと俺は行きますけど、営業第一エリアグループと経理との合同でしたっけ?」

「うん。ここ数年は見積課に新入社員の配属なかったから参加してなかったんだけど、私が入社した時から三つの課、合同で新入社員の歓迎会してるの。場所はホテルオオクマの大宴会場で、十九時からね」

「分かりました」

「あ、あと急遽ロスに出張に行かれてた社長が三週間ぶりに戻って来られるみたいで御堂くんに後で連絡がくるとのことです」

「ん?森川さんて秘書でもないのに詳しいんですね」

明菜がクスクスと笑った。

「仲のいい同期が秘書課と経理課にそれぞれいて、今日の歓迎会も一緒に行くんです。それで今日三人で食堂でお昼食べてた時に秘書課の同期から伝言頼まれたのでお伝えしただけですよ。それでは以上です」

明菜はベージュのボブをさらりと揺らすと自分のデスクへと戻っていく。明菜が着席すると、得意先へFAXを送り終えた梅子がこちらをのぞき込んだ。
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