世界くんの想うツボ〜年下ドS御曹司との甘い恋の攻防戦〜
「ば……」

「馬鹿で結構です。俺、梅子さんのほっぺ、ツボです」

梅子が顔を真っ赤にすると、すぐに俺を大きな瞳で睨んだ。

「そんなこと聞いてないっ、何すんのよっ」

誰にも聞かれないように小声で必死に抗議する梅子もなかなか可愛い。

「あ、課長ここもわかんないんですよね」

「え?何……いいかげんに」

「課長、これです!」

俺は周囲に仕事の話をしているように思わせるためにワザと大きめの声でそういうと、梅子の手首を掴んで引き寄せた。

「な、に……?」

「……ねぇ、俺らつきあってるんすよね?俺のLINEの返事くらい、もうちょい恋人らしく返してください。あといつ二人きりで会えんの?」

小声で囁けば梅子は耳まで真っ赤にしている。

「ばかっ、会社では言わない約束でしょ」

確かに梅子からは三カ月交際するかわりに社内では誰にもバレないようにして欲しいといわれていた。そして交際三カ月きっちりであの画像を削除し俺たちの契約交際も解除することにはなっている。

(こっちは別れる前提でつきあってねぇし)

俺は三か月後、梅子に別れたくないと言わせたい。
言わせる自信はある。

「じゃあ、もっとプライベートで俺にかまってよ」

「ばか、ホントばかなの。い……今言わないでよっ」

(今言わなきゃ、いつ聞いてくれんだよっ)

俺だけなのかもしれない。この間のデートが楽しくて、梅子と過ごす時間はあっという間で、もっと一緒に過ごしたいと思っているのは。それでもいい。すこしづつでいいから、俺に振り向いてほしい。俺は梅子の掌をぎゅっと握った。

「俺、寂しがり屋の子犬だから放置しないでよ、死んじゃうかも」

「ウサギじゃあるまいし!大体子犬っていっても噛み犬じゃないっ……早くこれ、放しなさいよ」

「ね。今日部屋いっていい?」

「部屋っ?!何する気よっ」

俺から掌を振りほどきながらも、あきらかに動揺する梅子を眺めながら更に距離を詰める。

「決まってんじゃん。某名探偵の言う真実と一緒で、ヤることもひとつでしょ」
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