世界くんの想うツボ〜年下ドS御曹司との甘い恋の攻防戦〜
「とりあえず、心奈さんのご機嫌取りしなさい。さもなければ源を課長から降格させるわ」

「なんだよっ、それ!」

「新入社員で直属の部下、さらには陶山の跡取りであるあなたに色目をつかうなど降格してしかるべき案件でしょう?いい?世界、これはビジネスよ。源と別れて。そして都市開発のプロジェクトが落ち着くまで一時的に心奈さんと婚約してもらう。いいわね?」

俺は奥歯を噛み締めた。一時的、とつけたのは由紀恵の最大限の俺への譲歩だ。ようはプロジェクトが落ち着くまで心奈のご機嫌をとり、ある程度で手を引いてもかまわないということ。

(でも俺は……一時的でも心奈と婚約などありえない。梅子さんと別れるなんて絶対に嫌だ)

「婚約については今すぐ返事はできない。ただ心奈の機嫌は取るから梅子さんには何もしないで欲しい」

「ふ……今日のところはそれでいいわ。私はプロジェクトが成功できればそれでいいから」

俺は一礼すると無言で社長室をあとにする。

(くそっ……いらいらすんな)

エレベーターのボタンを押しながら思わず舌打ちしそうになって俺はあわてて口元を覆う。

「……舌打ちは……幸せが逃げてくんだよな……梅子さん」

エレベーターをおり通路の窓から空を見上げれば、朝は晴れ渡っていた青空が曇天に変わっていた。
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