世界くんの想うツボ〜年下ドS御曹司との甘い恋の攻防戦〜
「とりあえず離れろよ」

世界と心奈のやり取りを見ていれば、やはり若い世界には心奈のような同年代の女の子がよく似合うと思う。それに幼馴染なのだから当然なのだが、心奈のことを呼び捨てたり、「お前」とよんで親し気に話す二人の様子を見ているのが苦しくなる。私はこみあげてくる想いを鎮めるようにシャンパンを飲み干した。

「ね、世界―。眠くなってきちゃった」

見れば心奈の足元はおぼつかず、綺麗な二重がとろんとしてきている。

「御堂くん、送ってきてあげたほうがいいわ」

「嫌ですよ。心奈は……」

「いいから、彼女、そんなんじゃ一人で家まで無理だから」

世界がさらに言葉を続けようと口を開けたが、世界と心奈の後ろからようやくやってきた人物が見つけた私は軽く手を挙げた。

「殿村」

「梅子、ごめんおまたせ」

「経理の部長さんは大丈夫?」

「あぁ、なんとか飲みの誘いは断ってきたよ。でなんだ?お取込み中かな?」

「あ、お殿さま部長お疲れ様ですー」

見れば心奈の足元は先ほどよりもおぼつかない。

「ん?梅子この子って経理課の?」

「そうよ。花田さんがちょっと飲みすぎたみたいで……でも御堂くんが送っていくみたいだから……」

「いや、梅子さん、ちょっと待っててもらえます?こいつタクシー乗せたら、俺すぐ戻ってくるんで」

世界が心奈を脇に抱えたまま、殿村をけん制するように私を真っすぐに見つめる。

「花田さん、かなり酔っぱらってるみたいだし、御堂くんがちゃんと家まで運んであげて」

「でも、俺は梅子さんと」

「おっと、そこまでだな」

殿村が世界と私の間に立ち、世界と視線をしっかり合わせてから口を開いた。

「悪いけど梅子は今から僕と飲みなおすから」

「は?俺のが先約なんだけど、てゆうか」

「おいおい、早くしなきゃ彼女完全にねむっちゃうから。ちなみに梅子は僕が責任もって送る。梅子、いこう」

「うん、そうね……」

殿村が世界の言葉を遮ると、私の手首を掴み世界と心奈の脇を抜けていく。僅かに世界と視線が合い、世界が何か言いたげにしていたが、私は気づかないフリをして殿村と宴会場を後にした。
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