世界くんの想うツボ〜年下ドS御曹司との甘い恋の攻防戦〜
「て、ところで、お前も梅子ちゃんもイイヒトいないのか?今年三十五だろ?良い報告待ってるんだけどな?」

修二がせっせと焼き鳥を炭火の上で回しながら強面を緩めた。

「まぁ、僕はなんだかんだ今はいないですね」

「へぇ。梅子ちゃんは?彼氏は?」

彼氏というフレーズにまた直ぐに意地悪な噛みつきワンコの顔が頭にうかんでくる。

(彼氏っていっても契約交際な訳だし……彼氏は、いないってことでいいわよね……)

「いない……んですよ……残念ながら」

「梅子、そうなんだ?」

「え?なによ、殿村?」

「いや、なんでもない」

世界はあのあと心奈を連れて心奈の自宅へ向かったのだろうか?今晩は家に帰って来るのだろうか。

「もったいねぇなぁ。梅子ちゃんこんな美人だし、仕事もできるし性格もいい。伊織もいないみたいだし、この際っていったらなんだけど伊織なんてどう?」

「え?殿村ですか?私と付き合わなくても若くてかわいい女の子がわんさか寄ってきてますから。ね、殿村」

「まぁ……お誘いはあるけど……僕にはずっと想いを寄せてる人がいるんでね」

「え!殿村そうなのっ?!嘘、社内?!」

「おっ、お殿さまももついに年貢の納めどきか?ってちょい外すわ」

修二が焼いていた焼き鳥を皿に乗せるとアルバイトの店員の元へと運んでいく。


直ぐに殿村がこちらを向いた。

「やっと二人きりなれたな、梅子お疲れ様、乾杯しなおそっか」

「えっと、うん乾杯」

私たちは飲みかけのグラスを合わせるとそれぞれの胃に流し込んでいく。

(ん?二人きりって言った……?)

今までも殿村が私といるとき、そんな同期らしからぬ発言をしたことあっただろうか?

(世界くんのことといい、私も考えすぎね)

私はすぐに先ほどの話へと会話を戻した。

「ね、ところで殿村誰よ?」

「何が?」

「ごまかさないで」

「まぁ、僕にだって好きな人くらいいるよって話だよ。相手の子も結婚適齢期だと思ってるし、結婚前提で付き合えたらなってさ」

知らなかった。殿村は確かにモテるし、夜のオフィスで残業中、直帰せずに営業から戻ってきた殿村に女子社員が待ち構えていて告白する現場を私は何度も目撃している。毎年のバレンタインなんて大きな紙袋三つでも足りてない。今までも彼女がいることはあったが長続きせず、気づけばまたフリーに戻っていたということばかりだった。

(へぇ、結婚まで考えてる殿村の想い人ってだれなんだろう?)
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