世界くんの想うツボ〜年下ドS御曹司との甘い恋の攻防戦〜
「意外だなぁ。殿村って結婚願望あったんだね」

「失礼だな、あるよ。今まで付き合った子は結婚は考えてなかった。その子だけだよ、結婚したいってずっと思ってるのは」

「ちょっとめちゃくちゃ気になるじゃない。なんでその子に告白はしないの?殿村ならいけそうだけど?」

「あはは。やけに聞いてくるね。そうだね、今までもアプローチはしてるつもりんだけどね、ただなかなか気づいてもらえてない。でももうすぐ告白するつもり、その子の為に今まで言うの待ってたから」

殿村との付き合いは長いがまさか社内に殿村の想い人がいるなんて本当に驚きだ。普段から飄々としていていまいち何を考えているのか分からないが、生真面目な殿村のことだから、告白が成功すれば、私の元カレのように浮気することもなく生涯その子のことを愛して大切にするのだろう。

「そっか……上手くいくといいね」

「上手くいけば梅子にだけは話すよ」

「殿村もついに結婚か……」

同期であり戦友のように思っていた殿村が結婚して家庭を持つと思うとやはり寂しく思う。

(もうこうして気軽に飲みに行くこともなくなるかもしれないんだな)

「梅子は気が早いな、まだわからないけど、でも僕子供好きだからさ、結婚したら早く子供も欲しいかな」

殿村はビールを飲み干すとタバコに火をつけた。

「子供かぁ……」

私はグラスを傾けながら、ふと出産というワードが頭の中に浮かぶ。

(結婚と……出産か……)

もうすぐ私は三十五歳を迎える。三十五歳以上の出産は高齢出産のくくりに分類されるのを知っている。今すぐ結婚したとして私が子供を産むのはいつになってしまうのだろうか?

(結婚すらみえないのに出産なんてまだまだ縁遠いわね……)

やはりこのまま世界と付き合うことは互いにとって何の意味もなさないような気がしてくる。

恋愛において結婚がゴールじゃないことは理解してるつもりだ。それでも若い世界とちがって勢いに任せて誰かと気軽に付き合う年ではないのは事実で、心の真ん中にいつも魚の骨が刺さってるような痛みとなんだか悪いことをしているような後ろめたさが拭えない。

それに結婚はさておいて出産のリミットは私の年齢を考えれば確実にすぐそこまで迫ってきている。
< 91 / 291 >

この作品をシェア

pagetop