世界くんの想うツボ〜年下ドS御曹司との甘い恋の攻防戦〜
口を尖らせた私を見ながら殿村は肺一杯に煙を吸い込む。
「それにしても十二年もまえか……二十三とか若っ……。あの頃は若いってだけで無敵だったわ」
月日が経つのは遅いようでほんとあっという間だ。世界のように新入社員として夢と希望だけをポケットに入れて、毎日がむしゃらになんとか大人の仲間入りをしたくて必死だった頃が懐かしい。
「今も梅子は無敵だと思うけどね」
殿村が最後の一個のだし巻を私の方へさりげなく寄せる。
「無敵なんかじゃないわよ……年を重ねるにつれて臆病になったから……ほんといつからこんなに臆病になったんだろう……」
「僕から見たら梅子は何にも変わらないよ。いつも一生懸命でひた向きで、何事も前向きだろ。臆病じゃなくて慎重なんだよ。でもそれは大人になれば誰だって慎重にもなるだろ、仕事も恋も」
殿村の大きな掌が伸びてきて私の髪をくしゃくしゃと撫でた。
「ちょ……と」
「僕も褒めてやるから、たまには自分で自分も褒めて労わってやれよ」
「あ、りがと」
お酒のせいじゃない。
なぜだか殿村の掌が触れて場所が時間をおいて熱くなってくる。
「もう一本だけ吸わせて」
「えっと、どうぞ」
殿村がタバコを吸う仕草を眺めながら、私は最後の一個のだし巻をそっと口に入れた。
「それにしても十二年もまえか……二十三とか若っ……。あの頃は若いってだけで無敵だったわ」
月日が経つのは遅いようでほんとあっという間だ。世界のように新入社員として夢と希望だけをポケットに入れて、毎日がむしゃらになんとか大人の仲間入りをしたくて必死だった頃が懐かしい。
「今も梅子は無敵だと思うけどね」
殿村が最後の一個のだし巻を私の方へさりげなく寄せる。
「無敵なんかじゃないわよ……年を重ねるにつれて臆病になったから……ほんといつからこんなに臆病になったんだろう……」
「僕から見たら梅子は何にも変わらないよ。いつも一生懸命でひた向きで、何事も前向きだろ。臆病じゃなくて慎重なんだよ。でもそれは大人になれば誰だって慎重にもなるだろ、仕事も恋も」
殿村の大きな掌が伸びてきて私の髪をくしゃくしゃと撫でた。
「ちょ……と」
「僕も褒めてやるから、たまには自分で自分も褒めて労わってやれよ」
「あ、りがと」
お酒のせいじゃない。
なぜだか殿村の掌が触れて場所が時間をおいて熱くなってくる。
「もう一本だけ吸わせて」
「えっと、どうぞ」
殿村がタバコを吸う仕草を眺めながら、私は最後の一個のだし巻をそっと口に入れた。