また、星の下で君に会えたなら。~彦星の生まれ変わりは織姫女子を溺愛する~

大体、歩き続けて30分した頃だろうか。
目の前に、なんとも重厚で歴史を感じさせる社が立っていた。
結花は、この神社のことを知らない。
しかし、彼女はこの神社こそが私のことを導いていたのだと悟ったような気がした。
とりあえず、境内に入ってみよう。
そう思い結花は暗闇の中でも美しい朱色が際立っている鳥居をくぐった。

当たり前だか境内は静寂に包まれていた。
自然と心が落ち着く。
さっきまでの、情緒不安定は何処に行ったのやら。
周りに住宅が転々と在るが、神社を囲むように木々が立ち並んでいるため、光という光がそれらに遮られ入ってこない。
しかしそこは、闇の巣窟というよりはプラネタリウムと比喩した方が良いくらいに綺麗な星々が空に輝いていた。

もう少しだけここに居よう。
結花は、社の屋根の下にある古びたベンチに腰を下ろす。

そういえば、パジャマのまま来ちゃったなー。
そんなくだらない事を頭の片隅の方で考えながら結花は目の前にある東の方の星空を見上げていた。
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