僕の欲しい君の薬指



しかしながら私に見えている女性ファッション誌の表紙を飾っているのは、あの子ではない。無造作にセットされている銀髪から覗く切れ長な眼。アンニュイな表情を浮かべているその人の隣には『榛名 珠々』の名前が記載されている。


それは、私が天糸君の目を盗んで買いに行こうとしていた榛名さんが表紙を飾った今月号だった。



「綺麗…」


これまで私が見てきたどの榛名さんの表情とも違う、とても妖しくて艶やかな一枚。魅入られるがままに、無意識に私は雑誌を開いていた。見開きから数頁に渡って、様々な榛名さんの写真が掲載されている。一頁一頁に魅入ってしまう。



「ちゃんと頑張ってるっしょ?」



つい夢中になってインタビュー記事を読んでいた私へ降ってきた声に、反射的に視線が持ち上がった。「はい、月弓の檸檬紅茶」そう言って私にグラスを渡したその人は、珈琲の揺れるグラスを持ったまま私の隣に腰掛けた。


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