僕の欲しい君の薬指
「それじゃあ行ってくる」
「皿洗い任せちゃって本当に良いの?」
振り付け練習があるからなのか、動きやすいセットアップのスウェットを着て玄関先に肩を並べて立っている珠々さんと綺夏さんの言葉に、私はまだ寝癖の残る頭を大きく縦に振った。
時刻はまだ朝の九時にもなっていない。七時半に起床してリビングに顔を出した時には、既に二人共食卓を囲って優雅な朝食を楽しんでいた。
ここで生活をさせて貰ってまだ片手で数えられる日数しか経過していないけれど、Apisがトップアイドルに君臨し続けられている理由と努力を数え切れない程に目撃した。
今日だって、珠々さんと綺夏さんは貴重なオフにも関わらず振り付けの自主練をしに行くらしい。Apisの他のメンバーである縹 虎さんと岬 乙兎さんも合流する予定だと言っていた。
到底真似できない血の滲む努力が積み重なった上で、彼等は眩い輝きを放って多くの人を魅了しているのだ。