僕の欲しい君の薬指
眠っている私の唇に彼がキスをしている自撮り写真。どちらの顔もしっかりと認識できる画角に収まっているそれは、明らかに意図して撮影された物だ。
「もしも月弓ちゃんが再び僕を捨てたりしたら、この写真を僕のSNSに投稿するね」
「冗談だよね?」
「冗談な訳ないじゃない。だって、これを投稿されると月弓ちゃんは困るでしょう?」
「事務所の人とかメンバーとかも困るよ…「そんなのどうだって良いよ」」
とても正気の沙汰とは思えない言動に動揺するこちらとは真逆で、彼は異常に落ち着き払っている。それが余計に私の恐怖を煽り立てた。私の反論を冷たい声で遮断した天糸君が、言葉を続ける。
「この写真を僕が投稿したら、百万人以上が一斉に月弓ちゃんの敵になるよ。その意味、分かるよね?」
百万人以上が敵になる。想像しただけで身の毛のよだつ話だ。しかし、天糸君は本息だ。
「何なら今すぐに投稿しよっか」
「え」
「僕は全然平気だよ…「ちょっと待って!!!」」